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寝ても覚めても：キャンプ地、明暗＝冨重圭以子　プロ野球の春季キャンプは、各地で次々と打ち上げを迎え、オープン戦の時期に入った。かつてのオープン戦は沖縄をスタートして、少しずつ北上する、ひと月早い桜前線みたいなものだったが、いまは違う。ドーム球場が増えたため、いきなり北の地方で開催されたりする。　　たとえば、日本ハムとヤクルトは、３月２日にそれぞれ沖縄の北谷と宜野湾で試合をし、その３日後には、札幌で対戦する。球春が徐々に全国に広がっていく季節感は薄れてきた。　　ところで今年は、例年にも増して、キャンプ地によって明暗が分かれたように思う。天候のせいだからいかんともしがたい。宮崎組は例年より寒かったものの、施設全部を使ったトレーニングが可能だったが、沖縄組は雨にたたられた。とくに石垣島のロッテと久米島の楽天は、悲惨だったようだ。　　気象庁のデータによれば、石垣島の今月の日照率（日照時間を、日の出から日の入りまでの時間で割ったもの）は９％。月別では観測が始まって以来、最も低かった００年の８％に次ぐ低さだった。久米島も同じく９％。宮崎が６２％だから、大きな違いだ。ロッテの場合、第２クールが終わる８日までにメーングラウンドを当初の予定通り使えたのは、たった１日だけ。連日、室内練習場に全員が集まるのだから、練習メニューを組むのも大変だ。さぞ重苦しい空気に包まれたことだろう。　　球団の公式サイトのキャンプリポートによると、島の子供たちが、照る照る坊主をたくさん作って持ってきてくれたそうだ。地元との交流の種にはなったようだが、首脳陣は笑っていられる状況ではない。キャンプ後半は、多少好転したが、楽天の野村克也監督が、練習試合で失策連発に頭を抱えたように、特に守備面で、実戦不足の影響は大きい。　　また、長丁場のペナントレースを乗り切るために、基礎体力の貯金をしておくのも、キャンプの大きな目的。そこに不安を残したままなのは痛い。　　西武の渡辺久信監督は、シーズンのポイントの一つに、梅雨の時期を挙げた。疲労がたまり、キャンプでの貯金が底をつくのだという。走り込みなどをして、再び体力貯金を作る計画も立てているそうだ。　　だとしたら沖縄離島組は、もっと対策を考える必要がある。公式戦を戦いながら体力作りもするなんて、考えただけでもしんどそうだが。（専門編集委員）　毎日新聞　2008年2月29日　東京夕刊